「手間をかけることは、心をかけること」
ある有名人のエッセイを読んでいたら、高名な福祉活動家の言葉と共に、手づくりのポテトサラダの写真が載せられている。それを見ていたら、過去の辛い思い出がよみがえった。
レシピ通りに作っているはずなのに、何回作っても美味しくできない。ある日、お惣菜のポテトサラダを買って食卓に並べたら、家族が「今日のポテトサラダ美味しいね」と言って喜んで食べていて、泣きたくなるのを必死に我慢しながら食べた。
あんなに手間をかけても美味しく作れないし、スーパーで買ったお惣菜をあんなに喜んで食べてくれるなら、もうポテトサラダは作らなくてもいいんじゃないか。そう思って作るのをやめた。
あの有名人や福祉活動家に似た価値観の人から「あなたは家族に心をかけていない」と詰られてもいい。それでも私はポテトサラダを作らない。